スポーツ選手・表現者の食生活から学ぶ

実践者から学ぶために、それぞれの分野のトップで活躍するスポーツ選手・表現者の食生活に関する情報・名言をまとめた“ノート”です。

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長年活躍し、2014年に最終回を迎えた『笑っていいとも』や、『ミュージックステーション』の司会でもお馴染みのタモリさん。タモリさんの食事は、同じ芸人さんでもある明石家さんまさんと同じく、一日一食半の少食スタイル(さんまさんの場合は回数よりも量=腹六分)。サラダかおひたしのような野菜ものと、煮たり焼いたり蒸したりした魚料理、それと少量のご飯とみそ汁、といった簡素なメニューだという。ある程度空腹のほうが調子がよく、「お腹いっぱい食べると気持ち悪いですよ。少食は良いと思います」「なるべく固形物が胃に入らない時間を長くしたほうがいい」と語っている。

食事のほかに実践している健康法として、運動は散歩を行なっているという。その際、足を少し高く上げたり坂道を登るといった多少の負荷を心がけている。ストイックに追い込むというよりも、あまり無理なくまずは「続ける」ことを重視している。また、体を石鹸やボディソープで洗わず、湯船に浸かるだけで済ませる入浴法も続けている。これはのちに「タモリ式入浴法」と呼ばれ、他に芸能人でも福山雅治さんやローラさん、窪塚洋介さんなども実践しているようだ。実際、洗いすぎによって本来なら皮膚を守る常在菌まで落としてしまうという弊害もあると言われる。現在では、石鹸やシャンプーを使って洗いすぎることのデメリットもしばしば取り上げられ、あまり「洗わない」ということの重要性も語られるようになっている。

長年アルゼンチン代表として活躍し、ワールドカップ優勝も経験している世界的なサッカー選手のリオネル・メッシ。しかしメッシは健康面での不安があり、若い頃は怪我に悩まされ、また20代後半まで、試合中に吐き気を催すこともたびたびあった。ドイツに敗れた2014年ワールドカップ決勝もそうだった。この頃、アルゼンチン代表のチームメイトの紹介で、イタリアの栄養士で医師でもあるジュリアーノ・ポーザーと出会い、彼の指導のもと、根本的な食生活の見直しを始めた。

見直しの柱は、砂糖や甘い飲み物、精製された小麦を避け、添加物や農薬などで汚染された食品も控えること。代わりに口にするのは、質のよいミネラルウォーター、エキストラバージンオリーブオイル、全粒粉の穀物、自然食品や旬の食材、ナッツなど。また、肉を減らし、魚を食べる回数を増やしたという。加えて、「飲むサラダ」と称される、南米で広く愛されているマテ茶をよく飲むようになった。

メッシ自身も、若い頃の食生活を後年になって振り返り、チョコレート、アルファホール(中南米の菓子)、炭酸飲料ばかりだったと語っている。ピザも大好物だったが、食事の改善によって一切口にしなくなったようだ。「昔は体に悪いものばかり食べていたよ。──でも今は食生活を改善したんだ。たまにワインも飲むけど、あまり問題ではないね。吐き気については変化がはっきりと分かった」とメッシは言う。

ノルウェー代表のサッカー選手で、世界に名高いストライカーであるアーリング・ハーランド。彼はサプリメントやプロテインに頼らず、本物の食品ホールフードによって身体の管理を行なっている。特に自然の食材へのこだわりが強く、水道水は飲まずにろ過した水を飲み、加工食品も避ける。また、生乳や牛肉は地元の農場で牧草を食べて育った牛のものをわざわざ選ぶようにし、なかでもハツやレバーなど内臓肉を食べる。サーモンやサバなど魚料理も食事メニューに盛り込む。日々の食事や発言などからは、その量もさることながら、質も大事にしていることが窺える。

体のケアという点では、食事以外に、トレーナーによる入念なストレッチや、サウナと冷水浴を交互に繰り返す温冷交代浴も実践している。あるいは睡眠も非常に重視し、朝は体内時計を整えるためにも日の光を浴びに散歩に出かけ、夜になると睡眠を妨げるとされるブルーライトを避けるようにしている。ストイックなこの姿勢について、ハーランドは次のように語っている。「やらない理由がないよね? 自分の人生のため、そしてサッカーキャリアのためだ。できる限り、誰にでもできる簡単で小さなことを一つずつ最適化していくことに、何の不都合があるっていうんだい?」。

長きに渡って文学の世界で活躍を続ける小説家の村上春樹さんは、健康を重視している。村上さんの朝は早い。午前4時に起床し、執筆も午前中のうちに行う。もっと書けそうでも、無理はしない。昼からは、ランニングをしたり泳いだりと運動のほか、軽い昼寝、読書や音楽など趣味の時間を過ごし、夜は9時頃に眠りにつく。こういった生活のルーティンのなかで小説を執筆する。

走り始めたのは専業の小説家になった30代の頃で、心の闇に触れる小説家という職業柄からもエッセイなどで健康の重要性については繰り返し語り、「真に不健康なものを扱うためには、人はできるだけ健康でなくてはならない」というテーゼを大事にしている。

また、小説のなかでしばしば「食事」が重んじられているように、作家自身の日々の食生活もしっかりしている。食事の内容は野菜と魚が中心で、肉もときどきは食べる。主食は酵素玄米で、調味料は自然の素材のものを使う。量は腹七分ほどにとどめ、眠る3時間前からは食べない。酒は飲むものの、量は控えめだという。

長年に渡って連載が続いている漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦さんは、「王道を行きながら実験的」と評されるその作風だけでなく、いつまでも「老けない」という見た目でも注目を集める。荒木さんの若さの秘訣として考えられることの一つに、その食生活が挙げられる。荒木さんは、しばしば少食と言われ、食事内容については、朝が自家製の生野菜ジュース、昼は野菜中心の食事、夜は食べないといったほぼ一日一食のスタイルが基本という話もある。空腹の時間が若返りのスイッチになるという指摘もあることから、荒木さんの「老けない」理由として、この食生活の影響も大きいのかもしれない。

また、食事にかぎらず、荒木さんの健康への気遣いとして、「休むこと」を大事にしている、ということも挙げられる。週休二日で完全に休む日を設ける、規則正しい生活を送って睡眠時間をしっかりとる(昔のインタビュー本によれば、夜11時に就寝し、朝10時に起きるという)、あるいはストレス管理なども気をつけているようだ。運動も日課で、朝の散歩や、ジムでのトレーニング、プールなどを習慣にしているという。

特にどの習慣が、荒木さんの若さの秘訣に繋がっているかは定かではないが、食事や睡眠、ストレス管理など、通して見られる抑制的で健康的な生活習慣が、長きに渡る第一線での活躍や若々しさの源になっているのかもしれない。