スポーツ選手・表現者の食生活から学ぶ

実践者から学ぶために、それぞれの分野のトップで活躍するスポーツ選手・表現者の食生活に関する情報・名言をまとめた“ノート”です。

満月の夜に、情緒不安定・眠れないのは気のせいか

満月になると、なぜか眠れない。身体が重い。イライラする。体調不良や情緒不安定になり、普段なら気にしないことに傷ついたり、妙に感情的になったりする。そんな夜がある。あるいは、喧嘩をしてしまうときは、満月が多い、といったこともあるかもしれない。

果たして、これは偶然や気のせいだろうか。ただ、月と人間の関係性については昔から言われていたようで、東洋医学でも、人体は月に影響されるという話が古い書物に記載されているという。

また、よく知られる月と身体のリズムを結びつけてきた事例として、狼男が挙げられる。満月を見ると、人間は狼になる。でも、考えてみれば、狼は月によって突然生まれるわけではない。普段は人間の顔をして暮らしている人のなかに、もともと獣の部分がある。それが満月の夜になると、姿を現す、ということを象徴しているのではないかと思う。

怒りや欲望、孤独、悲しみ。日中は理性の奥にしまっているものが、月明かりの下では少しだけ大きくなり、溢れ出す。

英語で、「狂気に満ちた、非常識な、精神的に不安定な」ということを意味するlunaticも、luna、すなわちラテン語の「月」が語源だと言われている。

lunaticは、狂気に満ちた、非常識な、または精神的に不安定な人物を指す英単語である。また、そのような行動や状況を表す形容詞としても使用される。元々は、月の影響で精神病にかかると考えられていたことから、この言葉が生まれた。

出典 : 実用日本語表現辞典 lunaticとは

この話は、村上春樹さんの小説『1Q84』のなかでも、同じ狂気を意味するinsaneは生まれつきのもので、月の影響によって狂ってしまう状態をlunaticと言い、かつてイギリスではこのことが裁判にも影響を与えたんだ、という話として出てくる。

「insaneはだぶんうまれつき頭に問題があること。専門的な治療を受けるのが望ましいと考えられる。それに対してlunaticというのは月によって、つまりlunaによって一時的に正気を奪われること。19世紀のイギリスでは、lunaticであると認められた人は何か犯罪を犯しても、その罪は一等減じられたの。その人自身の責任というよりは、月の光に惑わされたためだという理由で。信じられないことだけど、そういう法律が現実に存在したのよ。つまり月が人の精神を狂わせることは、法律の上からも認められていたわけ。」

出典 : 村上春樹『1Q84』

こういった人間と満月の関係は、全く無根拠な、スピリチュアルの世界の話なのだろうか。

しかし実際、生き物たちには、サンゴの産卵など月の周期に影響を受ける動物もいるし、科学的にも、ある調査によれば、満月や新月近くの夜には人の睡眠時間が平均して短くなったという結果が出ている。

太古の昔から、世界中の人々は、満月が心と体に変化をもたらし、われわれをより暴力的にしたり、奇妙な行動をとらせたりすると信じてきた。研究者らは長い間、そうした主張を否定してきたが、最近の研究では、月のサイクルが一部の人々にかすかな影響を与えることが示唆されている。とりわけ、睡眠、女性の月経周期、双極性障害の人の気分の変動といった、周期的な現象においてだ。

出典 : 月の周期が人の健康に影響する? 最新研究の意外な結果|日本経済新聞

なぜそういった現象が起きるのか、理由ははっきりとはわからないものの、満月に加え新月にも影響があるということは、単に月の光だけの問題でもなく、引力などの影響ではないかという説もある。

しばしば気圧の変化によって体調不良になる人がいる。また、季節の変わり目や春先に、体調を崩したり、精神的に不安定になることもある。体もまた自然の一部であり、人間の体と自然環境の変化も、決して無関係ではないとすれば、月の周期もまた、心身のリズムや自律神経に影響があったとしても、特段不思議ではないのかもしれない。

出典

  1. ウェザーニュース 東洋医学からみる 月の満ち欠けと体調の関係(2018/9/24) weathernews.jp
  2. 村上春樹『1Q84』