スポーツ選手・表現者の食生活から学ぶ

一流のパフォーマンスは真似できなくても、そのパフォーマンスを維持するための習慣なら真似できるかもしれない──

キーワード: 低糖質

数々の作品に出演し、監督業も行っている俳優の斎藤工さんは、子供の頃から感性を重んじたシュタイナー教育の環境で育ち、食事もマクロビだったこともあり、自然や食へ興味を抱く土台はできていたようだ。

さらにコロナの時期を経て、菌やウイルスについて調べていくなかで発酵や腸内環境への意識が深まっていった。「発酵には時間が絶対に必要です。日本は年齢を重ねることをネガティブに捉えがちじゃないですか。時間という概念に追われ、焦るか否かは分かれ道だなと10代から思っていました。時間を重ねることは本当に良くないことなのか、疑問を抱き続けるなかで出合ったのが発酵でした。まさに理想のあり方で、食を改めて見直そうと思いました」と斎藤さんは語っている。斎藤さんが出演したNHKの『スイッチインタビュー』では、発酵の専門家である小倉ヒラクさんとも対談を行っている。

腸内環境を考えた食生活にしていった斎藤さんは、小麦食品などを抜いたグルテンフリーを取り入れたり、玄米など未精製の食品や、糠漬け、無塩の鯖缶、納豆、豆腐、自家製の味噌、果物とてんさい糖と酵母菌ジュースで作った自家製の酵素シロップなど、発酵食を中心とした食生活を送っている。「現場食」のときには一日一食の少食で、普段は、玄米食や、手前味噌でつくったきのこと野菜の味噌汁など、一日につき二食半くらいのようだ。

こういった腸を中心とした食生活によって、花粉症も改善し、加えて、メンタルなど内面の変化も実感したと語っている。ただし、常にストイックに食事を律しているわけではなく、現場では周囲に合わせることもあれば、二週間に一日はチートデイを設けるなど、無理のない範囲で実践しているようだ。

女優の中谷美紀さんは、かつては魚介や卵をときおり摂る程度で野菜を中心にしたベジタリアンに近い食生活を送っていた。しかし、その食生活が健康的だと思っていたものの、体力が落ち、肌荒れも続いたという。引退も考えるほどの体やメンタル面の不調に悩み、栄養療法の専門医に相談すると、栄養に関する血液検査の結果、炭水化物の摂り過ぎや様々な栄養素の不足、肉を食べていないことなど、まるで中谷さんの食生活を見ているかのように的確な指摘。当時、空腹を紛らわせようとうどんや白米、パスタなど多量の炭水化物を摂っていたそうだ。

偏頭痛やニキビ、割れやすい爪など、不定愁訴の原因として食事面からの指導を受けた中谷さんは、好物だった炭水化物を減らし、黒糖やきび砂糖、はちみつを含む糖質類、白米や精製された小麦粉を控え、玄米、全粒粉、そばなどに切り替えた。最初の1ヶ月こそ糖質依存で大変だったものの、疲れやすかった体や急激な眠気、偏頭痛、肌荒れ、不安定さ、花粉症などの不調も落ち着いていったという。

糖質を控えると、空腹が訪れるので、その場合は、生のアーモンドやくるみ、松の実、マカダミアナッツなどを朝食として代わりに食べるようにする。また、不足している栄養素はサプリメントで補ってもいるようだ。体調管理をいっそうしっかり行うにあたって玄米なども制限するほど糖質制限が必要になった際は、そのぶんお肉料理を食べるなど自分の体の声と相談しながら食生活を工夫している。いずれにせよ、中谷さんにとっての体調管理の根幹には、2010年から続けている糖質制限があるようだ。

その他、美容法において中谷さんが大事にしているのは「水」。体にとって大切なカルシウムとマグネシウムは水から摂ることを心がけ、そのためにも毎日水は2リットル飲むそうで、10代の頃から愛飲しているミネラルウォーターにエビアンを挙げている。

声や目利きだけでなく、肉体美も注目され、体の維持のためにストイックな食事法やトレーニングを行なっているミュージシャンのGACKTさん。GACKTさんが肉体管理、健康維持のために実践している食生活の特徴が、「一日一食」と「炭水化物抜き」だ。このスタイルはどちらも、GACKTさんがソロになった20代半ばの頃に始めたという。その際、なにか大切なものを一つ置いておこうと、自分を追い込む意味合いから、好きだった食事を一食にし、米もやめたそうだ。もともとは健康習慣というよりも、あくまで自分との約束事で、基本的に炭水化物は抜くものの、誕生日のときにラーメン、フランスに行ったときにパンをご褒美として食べるという。

また、一日一食にすることによって、いっそうその一食の質や中身へのこだわりも強くなっていく。絶対避けるということは難しいにしても、砂糖や化学調味料などを避け、調味料代わりにレモンを使うことも多い。炭水化物を摂らないぶん、肉をよく食べるようだ。栄養については、プロテインやサプリでも補っている。加えて、頭も冴え、集中力も高まることから、しばしば長期にわたっての断食(ファスティング)も行なっている。健康への意識の高さには、幼少期からの神経系疾患の影響もあるようだ。「僕の病気って幼少のころからある病気で、それを克服しようと思って僕はネットのない時代から分子栄養学だったりとか食事のことに対してすごく自分からいろいろ情報をかき集めて、それをやり続けてるから今もこうやって生き続けてると思う」と語っている。

筋トレもストイックに行なっている。筋トレについては「楽しい」わけではないとGACKTさんは言う。ただ、これがたとえば仕事となると、他者も関わってくるものの、自分の体のことは自分次第で、筋トレを3ヶ月もすると変化が見えることから、自分が継続できたことの誇りにも繋がってくると指摘している。