雑学

体を洗わなかった男

体を洗わなかった男

近年、「清潔にしすぎること」の健康面の弊害が、しばしば議論の対象になります。

それでは、その対極にある「極端な不潔さ」は(社会的な摩擦や常識を置くとして)健康にどのような影響をもたらすのでしょうか。

この問いについて深く考えさせられる事例が、「世界で最も汚い人物」として知られたイラン人隠遁生活者、アモウ・ハジさんの話です。

50年以上一度も体を洗わなかったというハジさん。体を洗わなかった理由は、過去の心理的な挫折が原因で、体を洗ってしまうと病気になると怖がり、石鹸どころか、水でさえ洗うこともありませんでした。

村民は何度かハジさんの体を洗おうと試みるものの、そのたびに逃げます。しかし、ついに圧力に屈し、94歳のときに体を洗うことになります。

ところが、ハジさんは、体を洗った直後に体調を崩し、数ヶ月後に亡くなってしまいます。

イランで長年、体を洗うことを拒否していた隠遁生活者が、94歳で亡くなった。何十年かぶりに体を洗った直後だった。男性はメディアで、「世界で最も汚い人物」として紹介されていた。

半世紀体を洗わなかった男性、94歳で死去 イラン

体を洗ったことが死因として大きかったのかはわかりません。でも、そもそもまずそれほどの衛生環境にもかかわらず、94歳まで生きていることでも十分な驚きです。

また、報道によれば、食生活も、腐った肉を食べたり、古い缶で汲んだ不衛生な水を飲んでいたようです。

常識的に考えると、体が弱ったり、色々な症状でとても耐えきれないような状態になり、むしろ早く水で洗い流したいとなりそうなもの。

不潔な環境が、逆に彼の体を特定の病原体から守る、あるいは免疫システムを鍛える側面があったのでしょうか。その環境が、ハジさんにとってはむしろストレスのないものだったのでしょうか。

実際に長生きしたこと、また洗ってから身体がバランスを崩したのか、直後に体調を崩し、亡くなってしまったことも含め、このニュースは、「健康な生活とは何か」ということに関する根本的な問いを投げかけてきます。

ちなみに、ハジさんの場合はちょっと極端ですが、「洗い過ぎないこと」「お湯で洗うくらいのほうがいい」といった声はよく聞くようになっています。

参考 : 半世紀体を洗わなかった男性、94歳で死去 イラン