野口晴哉の名言「風邪は健康法」
風邪を引くと、つい風邪薬をのんだりして急いで熱を下げたくなるかもしれません。
でも、下痢や嘔吐といった症状が体にとっては「悪いものを出そうとする」、言ってみれば自然に備わった治療法でもあるように、熱もけっして倒すべき「敵」ではないと言われています。
そんな体に備わっている治療法を敵扱いして、無理やり止めようとしたり倒そうとすれば、味方の足を引っ張っているような、こんがらがった話になりかねません。
例えば、発熱は体内の殺菌・消毒と血液循環の促進および排毒の役割があり、リンパ球を増やして免疫力を高めるとされています。また、下痢・出血は体内毒素・不要物を排泄する生体防御機構のひとつです。このように生体には防御機構が休みなく働いており、反応こそが健康の証でもあります。
音楽家の坂本龍一さんにも影響を与えたことで知られる、野口晴哉という昭和の著名な整体師がいます。
野口整体という整体法の創始者で、著書であるちくま文庫から出ている『風邪の効用』という本では、風邪とはむしろ体にとっては健康法として働くものだという考え方を提唱しています。
風邪の効用
風邪を無理やり退治しようとするといった考えではなく、なるべく上手に「経過」させる、そうすると風邪が抜けたあとの体は健康になり、症状を敵視して倒そうとするから、逆に悪くなる。
野口さんの「風邪は健康法」という言葉は、これまでと体の捉え方を違って見せる斬新な名言だと思います。
そして、症状が体にとっての療法であるのなら、風邪のときには、いっそその療法(症状)を支えてあげるほうがよいと、以前坂本龍一さんも野口さんの『風邪の効用』を引きながら語っています。
野口整体をはじめた野口晴哉氏が著した『風邪の効用』という本を読んでみなさい。
風邪をひくと健康になる、だから無理に治さないほうがいい、ということが書かれています。ぼくもこれを読んだときは、目からウロコが落ちました。
中略
ぼくたちは、そういったカラダの症状をむしろ応援してあげたほうがいい。風邪で熱が出たら、足湯や生姜湯などでもっとカラダをあたためる、汗をかくようにする。たんに熱だけ下げるといった、症状を無理やりとめてしまうのは、よくないことなんです。
体にも、そんな風に自然の療法が備わっているのだから、即座に敵と判断せずに、そのことについて意識してみるということも必要かもしれません。
風邪の不思議
漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんも、この『風邪の効用』に関する書評で、風邪の不思議について書いています。
私など重い風邪をひいている間は妙に弱気になり、もう働けない気がしてその間に来た仕事は断ってしまいがちです。しかし風邪が治ると、すっきりしてデトックスした感があり、風邪をひく前より体が軽くなっているのが不思議でした。
その風邪の知られざる秘密について語られているのが『風邪の効用』です。
症状というのは療法であり、風邪の場合、強引に症状を抑えようとするのではなく、上手に経過させると、むしろ体のバランスが取れ、「蛇が脱皮したようにサッパリ」すると言います。
この『風邪の効用』を読んでから、辛酸なめ子さんは、風邪をひいても風邪薬を買わなくなり、自然治癒に任せるようになったそうです。
海外ではどうしているか
ただ、風邪に関するこういった対応自体は特に変わったことでもなく、たとえばインフルエンザでさえあくまで風邪の延長であり、海外では高齢や重症でもないと基本的に病院には行かないようです。
「インフルエンザにかかっても検査も薬も必要ない!?」 驚かれるかもしれませんが、実は本当です。
ドイツでも、フィリピンでも、インフルエンザの検査は日本ほど一般的ではないようです。
日本人が多く利用する病院だと検査してくれる医師もいるようですが、以前フィリピンで夫にインフルエンザ症状が出たので、救急病院に連れて行って検査を医師にお願いしたのですが、「これは風邪の症状の延長なので、自宅でゆっくり休んでください」と言われて終わりでした…
ドイツでは、風邪を引いても、日本のように風邪薬は処方されません。「風邪用のハーブティーがあるので、それを飲んで仕事を休んで、自宅でゆっくり治してくださいね」と言われました。恐らくインフルエンザ症状が出ていたとしても、同じ対応をされるかもしれないですね。
ドイツは医師も薬に頼らずに自然治癒力で治しましょうという風潮が強くて、インフルエンザ症状が出ても同じで、あえてインフルエンザ検査をしてくれる病院は少ないと聞いていますので。
風邪を引いたら、医師に1週間仕事を休むようにという診断書を書いてもらって、ゆっくり休む環境です。
風邪において特に何かしようとしない、自然治癒に任せましょう、という対処法自体は、割と一般的なものだと言えるでしょう。
家では、食事を減らし、温める
ちなみに、ヨガ講師の高橋さんは、家でできる風邪をうまく経過させるための具体的な方法として、「食事を減らし、温めること」などを挙げています。
「食事を減らし、葛やしょうが、大根、りんごなど消化によい食材で体を温めてください」
「風邪のときは代謝が落ちているのでとにかく体を温めます。できれば汗をかくまで湯船に入って熱を上げてください。熱というのはピークに達すればそこから下がっていくので、経過が順調になります。ただし、湯冷めには充分注意しましょう」
出典 : 《医師が解説》風邪をひいたら「熱をしっかり出して体のメンテナンスを」 名著『風邪の効用』に学ぶ、風邪を引いたときの対処法
参考 : 坂本龍一 第2回 「健康」について言いきる|漫画家・コラムニスト、辛酸なめ子が読む『風邪の効用』野口晴哉著|《医師が解説》風邪をひいたら「熱をしっかり出して体のメンテナンスを」 名著『風邪の効用』に学ぶ、風邪を引いたときの対処法
