料理研究家
土井善晴
どい・よしはる
1957年生
少食・一日一食
男性
65歳以上
一汁一菜でよい。ご飯と、具沢山の味噌汁でじゅうぶん。一日二食でもじゅうぶん。肩肘張らずに、季節のものをいただく。
考えることはいりません。日常の食事を一汁一菜と決めてしまえば、食事作りのストレスはなくなります。
KOKOCARA
料理をしたい。でも、いざ作ろうとすると、献立を考え、材料をそろえ、いくつもの工程をこなさなければならない。面倒だし、疲れる。そう思うだけで、もう手が止まってしまう。そんな人に向けて、料理研究家の土井善晴さんが提案するのが「一汁一菜」だ。日本人が昔から大切にしてきた、食の基本の形である。
一汁一菜とは、ご飯、味噌汁、漬物。ただし、この型にこだわりすぎる必要はない、と土井さんは言う。それも大変なら、ご飯と、具だくさんの味噌汁さえあればいい。「考えることはいりません。日常の食事を一汁一菜と決めてしまえば、食事作りのストレスはなくなります。」一汁一菜では栄養が足りないのではないか、と心配になるかもしれない。でも、土井さんは、日本人はずっとこの食事を続けてきたのだから、それで元気に健康でいられるはずだ、と語る。また、必ずしもご飯と決めつける必要はなく、パンでも麺でもかまわない。大事なのは毎回献立を考え直すことではなく、ひとまず日々の食事は一汁一菜という「型」を一つ決めてしまうこと。
それでは、土井さん自身は日々どんな食生活を送っているのだろうか。土井さんのSNSに並ぶのは、旬の素材をそのまま活かした、驚くほど簡素な一品。熱湯で溶いた味噌汁に梅干しを落としただけの梅干し味噌汁(「うめぼしみそしる ねっとうでとくだけ 元気でます」)。夏には、切っただけのすいか(「これはとてもおいしいすいか」)。手が込んでいるわけではないのに、どれも不思議と食べたくなる。また、食事の量も、若いうちならまだしも、自分の年齢になったら一日二食でじゅうぶん、と土井さんは語る。「一日三食、一汁三菜は、戦後、暮らしが豊かになるまで庶民はしていません。」「一日二食でじゅうぶんです。それこそ一食にしっかりしたおかずがあれば、もう一食は、冷ご飯に梅干しとお味噌汁でいいわ、と、そんな感じ。」
我慢や節約の話ではなく、毎日の食事から「考える負担」を取り除き、かつ自然との結びつきや健康的な食生活を無理なく維持し続ける一つの型として、土井さんは「一汁一菜でよい」と提案する。
漫画家
荒木飛呂彦
あらき・ひろひこ
1960年生
少食・一日一食
ルーティン
男性
食事は野菜中心で、少食とも言われる。また睡眠のような休息や、ジムでのトレーニング、散歩といった運動の習慣など、ルーティンを大切にする。
きっちり、確実に刻んでいきたいんです。
集英社『マンガ脳の鍛えかた』
代表作の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』だけでなく、いつまでも「老けない」というその見た目にも注目が集まることの多い漫画家の荒木飛呂彦さん。食事は、しばしば少食と言われ、朝は自家製の生野菜ジュース、昼は野菜中心の食事、夜は食べないといったほぼ一日一食のスタイルが基本だという話もある。空腹の時間が若返りのスイッチになるという声はあり、「老けない」理由として少食の影響も大きいのかもしれない。
また食事だけにかぎらず、健康への気遣いとして、週休二日で完全に休む日を設ける、規則正しい生活を送り、睡眠時間をしっかりとる(昔のインタビュー本によれば、夜11時に就寝し、朝10時に起きるという)など「休むこと」も大切にし、ストレス管理なども気をつけているようだ。運動も日課で、朝の散歩や、ジムでのトレーニング、プールなどを習慣にしていると言われている。
特にどの習慣が、荒木さんの若さの秘訣に繋がっているかは定かではないが、食事と言い、睡眠と言い、ストレス管理と言い、通して見られる抑制的で健康的な生活スタイルが、長きに渡る第一線での活躍や若々しさの源になっているのかもしれない。
作家
村上春樹
むらかみ・はるき
1949年生
少食・一日一食
菜食寄り
自然食
野菜と魚が中心、主食は酵素玄米、量は腹七分にとどめる。早朝4時に起き、午前中に執筆。午後からランニングや水泳、趣味の時間。夜は9時に寝る。
真に不健康なものを扱うためには、人はできるだけ健康でなくてはならない。
村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』
長きに渡って文学の世界で活躍を続ける小説家の村上春樹さんは、健康を重視している。村上さんの朝は早い。午前4時に起床し、執筆も午前中のうちに行う。もっと書けそうでも、無理はしない。昼からは、ランニングをしたり泳いだりと運動のほか、軽い昼寝、読書や音楽など趣味の時間を過ごし、夜は9時頃に眠りにつく。こういった生活のルーティンのなかで小説を執筆する。
走り始めたのは専業の小説家になった30代の頃で、心の闇に触れる小説家という職業柄からもエッセイなどで健康の重要性については繰り返し語り、「真に不健康なものを扱うためには、人はできるだけ健康でなくてはならない」というテーゼを大事にしている。
また、小説のなかでしばしば「食事」が重んじられているように、作家自身の日々の食生活もしっかりしている。食事の内容は野菜と魚が中心で、肉もときどきは食べる。主食は酵素玄米で、調味料は自然の素材のものを使う。量は腹七分ほどにとどめ、眠る3時間前からは食べない。酒は飲むものの、量は控えめだという。

